論理学をつくる, 戸田山和久, 2000

論理学をつくる
読んだ読んだ。中断期間も含めて二年ほどかかりました。時間はかかったが、ひととおりやり切ったおかげで論理学まわりの見通しはだいぶよくなったような。日本語でひとりで論理学をはじめるには、やっぱりこれなんだろうか。確かに説明がていねいで読みすすめるのが(ふつうの数学書よりは)易い。ただ、第 IV 部のプラスアルファ的な話は概観のみで詳しく見ていくということがなかったので、少し食い足らず。「ロードマップ」だというので役割に内容はかなっているのだが、第 III 部まではひたすら教科書的な足取りだったので IV 部に入ったときに読む構えを変える必要がある。
以下、誤植や誤りと思われる部分など。すみずみまで目を通したわけじゃないんで見つけたものだけ。指摘が間違ってたら教えてくださいね。もう初版第一刷から 10 年以上経ってるので、そろそろ改訂版が出るといいな。

  • p.137,下から 2 行目,誤「 x が■なら真だが、●なら偽」,正「 x が a なら真だが、 b なら偽」あるいは「 x に割り当てられるものが■なら真だが、……」。ここで x は、それを付値関数に入れて議論領域の中の要素(個体)を出力させるための、いわば名前であるが、■は個体そのものなので、x=■ということは言えない。
  • p.138 練習問題 34 の解答 (p.385) 。一般に、 ∀x とか ∃x といった書きかたは、 x という名前(個体定項)について言及しているのであって個体について直接触れているのではない。よって、 (6) は、定義されている個体定項 a, b 、つまり個体でいえば◎と◆だけについて検討すればよく、答えは「真」。
  • p.140,8-10 行目,誤「 M 」,正「 M1 」。これは定義のとおり。あと、 15-16 行目も、 M と M1 がなぜか併存している。 16 行目の M1 を M に直すのが正しい。
  • p.143,2 行目,誤「個体変項α」( 2 箇所),正「個体定項α」。これは話の流れからわかる。
  • p.187 練習問題 57 (10) の解答 (p.394) 。タブローの一行目、 Ky→Sxy ではなく Ky∧Sxy と書くのがもともとの論証の記号化としては正しい。写し違えたままタブローを展開してしかもうまい具合に閉じてしまっている。なお、→を∧に直して書いたタブローももちろん閉じる。
  • p.257 練習問題 78 (2)(c) の解答 (p.412) 。 8 行目の式の番号は 5 ではなく 7 。
  • p.315,下から 2 行目,誤「∀w∀w'∀w''[(wRw'∧w'Rw'')→w'Rw'']」,正「∀w∀w'∀w''[(wRw'∧wRw'')→w'Rw'']」。ふたつ目の R のとこ。 Euclidean なる関係の定義は p.189 に出ている。