新しさと新鮮さ

古いものが新しいのはある意味では当たり前だ。懐古趣味はじつに素直な嗜好であると言える。なぜなら、古いもの――たとえば 20 年前のもの――は、今から 20 年の時間的隔たりがある。今から 20 年ぶんずれたものであるわけだ。それに対して、新しいもの、これから出るものは、今との時間的隔たりは限りなくゼロに近い。言いかえれば、ある意味で、新しいものは最も新しくないものでもある。
とはいえ新しいものが新しくないなどというのは無が無化する的なドヤ顔の言葉遊びに聞こえなくもないので、すこしことばを選び直したい。それに、直観的に言っても、新しいものはやはり新しい。つまり新鮮なものでありうる。堅実に考えれば、それが登場したときと今との時間的隔たりと、その新鮮さが比例するわけでは必ずしもない。ただし相関関係はある。
新しいものが新鮮でないのは、それが予想されるときだ。容易に予想できる、定型的な作品が出るときだ。そして、最も定型化された作品が出やすいのが、「次の瞬間」だったりする。 20 年前に共有されていた定型はそもそも今の定型とずいぶん違う形をもっている。だから定型的な作品でも新鮮に思える。そして実際新鮮なのである。もちろん 20 年前の作品にばかり親しんでいたらそれも新鮮には思えなくなってくるけどね。


★結論★
昔のものを見て暇をつぶすと同時に価値観をリフレッシュするといいと思う!