嗜好品でドーピング

コーヒーとか。タバコとか。タバコは吸わないけど。アルコールとか。はたまたコンビーフとか。コンビーフをフライパンで焼いて食べ、薄めた焼酎*1を飲む。みたいな。 UCC の紙コップコーヒーを昼食のお供にする、とか。あるいはよりざっくりと、かつ elaborate には、料理をするとか。料理するための材料を学校帰りに買うとか。そういうことは、高校生まで浪人者までの時分ではしなかった。中学生のころはなおしなかった。要は言いたいのは大人になるにつれ、生活が複雑になってくる。学生の本分は勉学であり(といわれる)、学生が典型的にすることといえば勉強、バイト、サークル活動である。そのなかにコンビーフを買いに行くことは含まれていない。いや一人暮らしだったら炊事するだろうと言われるが、コンビーフを食べながら酒を飲むというのは炊事とはまた別のアクティヴィティで、嗜好品を楽しむ、なんてことにあたる。わからん。嗜好品とはなんだろう。
中学生の時分は家にいるとインターネットばかりしていた。 2ch を見つけた。だいたいインターネットばかり見ていたね*2。本を読む習慣がついたのは高校の後半からだ。そのころは生活がシンプル――これは生活のなかで行われる活動の数が少ない、くらいのことを意味する――だったかわり、集中力も高かったように振り返る。いや。たぶん実際はそれは事実とは違うんだ、との直観も働いているけれど。高校生のころは小説を数時間にわたって読み続けることができた。でも今はできないな。そもそも小説を読むモチベーションがないのもあるんだが。いっぱんに同じことを持続して行うのは一時間と続かない*3。他の人がかかわってるときはまた話が別だが。いやー体力がなくなったという話なのかな。
またちょっと別の話だが、さまざまの嗜好品によって己の生活水準を上げるようなことをするほか、僕は年をとるにつれて頭の痛いときはバファリンを飲み、べつに疲れてないときでもレッドブルを飲んでみたりするようになった。ドーピング。ドーピングのようなものに対してかつて僕は抵抗があったように記憶する。それは倫理的抵抗だ。ドーピングで出した結果は自分の実力じゃないってことだ。じつは自宅浪人を選択したのもなんか似たような意識が働いてたかもしれない。予備校は他力でしょ。生身の自分でできることのみが評価されるべきであり、その域を出るべきではない。バファリンとか栄養ドリンクはいわばドラッグの延長線上に見ていたのだ。まあ見ての通り、線引きはたぶんかなり恣意的なものだったんですが。翻って、今は催眠にちょっと興味があったりする。
まあバファリンの話なんかは自分でもちょっと振れすぎてるなと思う。頭痛くても自然治癒になるべく任そうとした。それは、そうすることによって自らの自然治癒力が保たれたり高まったりするだろうという信念にもよっていた。自宅浪人にも似たような事情があって、すなわち自学自習する習慣なり技術なりをあの一年間で身につけようと思ったのだ。これは多少は実現されたがざっと見て判断すれば失敗であったといまは評価する。自宅浪人してよかったな、とひとつ思うのは、あの特殊な環境に身を置いて生活する機会を持てた、ということだった。まあ半分ニートだった。身を置く共同体が家庭しかないってのは一種異常な――でも探してみれば意外とある――環境だった。それを 18 19 のときに体験したというのは、まあ特殊な経験に数えてもいいかなと思う。
完全に話がそれているが、嗜好品の話なのだった。嗜好品に囲まれた私は雑多なフレームを行き来しながら生活する。 3 冊の本を並行して読み、演習のテキストを読み、お茶を入れ、 Twitter を見、筆ペンで字の練習をする。それはわるいことなんだろうか。一つのことに集中することはできなくなったのだろうか。原因はなんだろう。年を重ねるにつれてしなきゃならないことが増えていく、というのは、まあ事実のようだ。もちろん比例関係というよりは、ある時期に急激に増えるんだろうけど。しかし勉強するにもまずコーヒーを淹れなきゃいけないとか、自分で自分にごほうびを用意しなきゃ今日は何買おうとか考えるのは、どこか窮屈じゃないか。いきなりざっくりと勉強に入って、眠くなるまで勉強してあとは寝る、みたいな生活のほうが理想的なんじゃないだろうか。いや。よくわからない。どっちが豊かでどっちが貧しいかは、たぶん真逆の二通りの reasoning があって、しかし今のところ僕がどっちに加担したいのかもよくわからない。ただ、コンビーフを買いに行ったりしてるときそこに迷いが生じているわけではない。だから現状を否定したい気がしてるわけではない。

*1:こう書いてみて、なんかうまそうな感じがしないな、と思ったら、ふつうはこれを「水割り」と称すのだった

*2:今思えばお金がなくてお菓子買おうなどという気も起きなかったので金のかかることに関して禁欲的になったってのもあるかなあ

*3:まあ例外はいろいろとあるんですが、少なくとも読書に関しては持続しなくなった